1.ドミナントモーション
「セカンダリードミナント」を説明するうえで必要な知識となる「ドミナントモーション」についてまずは説明していきます。
「ドミナント」⇒「トニック」の進行が「コード進行」の中で最も強い進行であることは「入門編」の中でもご説明しました。
「ドミナント」⇒「トニック」の進行が最も強い進行と感じるのは以下の2つのポイントによるものです。
【ポイント①】トライトーン(増4度)から3度への解決
【ポイント②】ベース音が4度上昇(強進行)
この2つのポイントを両方含むコードの動きを「ドミナントモーション」と呼びます。
2.セカンダリードミナント
前述の「ドミナントモーション」を、ダイアトニックコードに対して行うことのできるコードを「セカンダリードミナント」と言います。
具体的に「C調」でのセカンダリードミナントを挙げると以下の5つが全てになります。
「A7」=「Dm」に対する「セカンダリードミナント」
「B7」=「Em」に対する「セカンダリードミナント」
「C7」=「F」に対する「セカンダリードミナント」
「D7」=「G」に対する「セカンダリードミナント」
「E7」=「Am」に対する「セカンダリードミナント」
(補足)
この理屈でいくと「Bm(-5)」に対して「F#7」という「セカンダリードミナント」が存在しそうですが、「F#7」はベース音が長調の音階からはずれていて、ダイアトニックコードと一緒に使うには違和感があるため「セカンダリードミナント」には含めません。
「セカンダリードミナント」は、ダイアトニックコードにはない微妙なニュアンスを演出します。
3.セカンダリードミナントのダイアトニックコードとの置き換え
「セカンダリードミナント」は、ダイアトニックコードに置き換えるようにして使えます。
例えば「ダイアトニックコード」
F⇒G⇒Em⇒Am
を
F⇒G⇒E7⇒Am
として、メロディーもそれに合わせて入れてみます。
いかがでしょうか?
「セカンダリードミナント」の緊迫感のある感じが伝わりましたでしょうか?
このパターン以外にも「ダイアトニックコード」を「セカンダリードミナント」に置き換える方法として、以下のようなパターンが考えられます。
いずれも違和感なく置き換えられると思います。
なお「ダイアトニックコード」を「セカンダリードミナント」に置き換えた場合、音階にない音が鳴ることになりますのでメロディーとの間に不協和な響きができないように注意しましょう。
4.セカンダリードミナントの挟み込み
「セカンダリードミナント」は元のダイアトニックコードに対して、挟みこむようにして使われることもよくあります。
例えば
Dm7⇒G7
という進行の間に「G7」に対するセカンダリードミナントを入れて
Dm7⇒ D7 ⇒G7
とするやり方です。
例えばこんな音になります。
この挟込みパターンの自由度は高く、様々パターンで使うことができます。
前述の
「A7」=「Dm」に対する「セカンダリードミナント」
「B7」=「Em」に対する「セカンダリードミナント」
「C7」=「F」に対する「セカンダリードミナント」
「D7」=「G」に対する「セカンダリードミナント」
「E7」=「Am」に対する「セカンダリードミナント」
となっている事を頭に入れて最終的に到達したいコードの手前に「セカンダリードミナント」を配置していきましょう。
5.まとめ
ここまで説明してきたように「セカンダリードミナント」は「ダイアトニックコード」にはない微妙なニュアンスを演出できます。
サビ前であるとか、サビ中の盛り上がる部分など、ここぞという時に使って「コード進行」に彩りを加えていきましょう。
この章のまとめです。
まとめ
【1】「ドミナントモーション」をダイアトニックコードに対して行えるコードを「セカンダリードミナント」と言う。
【2】「セカンダリードミナント」を使うと緊迫感がえられる。ただしメロディーとの不協和音にならないように注意。
【3】「セカンダリードミナント」は「ダイアトニックコード」の置き換え、もしくは「ダイアトニックコード」に挟み込むようにして使える。
「セカンダリードミナント」を使いこなせるようになると、作曲の幅がいっきに広がると思います。
使える場面はとても多いので、実際に色々と試してみてその響きと使い方を覚えていきましょう。