1.ディグリーネームとは
「ディグリーネーム」の前半部分「ディグリー」は、英語では「degree」と書き、気温、角度などを表す場合の「~度」にあたる言葉です。
音楽用語の世界で「度」と言ったら「2.作曲に必要な音楽用語(音程)」で解説した「度数」です。
そして、「ディグリーネーム」の後半部分の「ネーム」は、英語では「name」と書き、名前という意味です。
「ディグリーネーム」はスケール上の各音に対して「度数」に応じた「名前」をつけたものです。
「ディグリーネーム」は「ローマ数字」を使って「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」などと表していきます。
2.ディグリーネームの命名規約
「ディグリーネーム」は「メジャースケール」のルート音からの距離(度数)を基準に、以下のように決まっています。
3.「キー」が変わったらどうなる?
「ディグリーネーム」は、ルートとの距離でその名前が決まります。
よって、「キー」が変われば、ディグリーネームの指す音も変わります。
例えば、上記のCメジャースケールを、2半音上げてDメジャースケールにすると、各ディグリーネームが指す音は以下のようになります。
「Dメジャースケール」のルート音は、「Cメジャースケール」に対して、2半音分高いので「ディグリーネーム」の指す音も2半音ずつ高くなります。
このように「ディグリーネーム」は、固定のメジャースケール上の特定の「音」を指すのではなく「ルート」との相対的な距離で音を表すことになります。
「作曲に必要な音楽用語(スケール)」の中で述べたとおり、「キー」に応じて全ての音を同じ度数だけ移動すると、もとのイメージを保ちます。
よって「ディグリーネーム」で表記された音階は、「キー」によらず同じイメージを表している状態になります。
そのような性質を持つため、ある「キー」に限定されない「メロディー」や「コード進行」を表すのに「ディグリーネーム」は大活躍しています。
例えば、「Cメジャースケール」における「C(ド)」⇒「D(レ)」⇒「E(ミ)」という「メロディー」が、「Ⅰ⇒Ⅱ⇒Ⅲ」という形で表されている場合、「Dメジャースケール」においては「D(レ)」⇒「E(ミ)」⇒「F#(ファ#)」で演奏される。
という具合です。
4.スケール以外の音を全て表現する
「メジャースケール」にない音は「ディグリーネーム」上、どのように表されるでしょうか?
「メジャースケール」にない音は「♭」や「#」を使って、「Ⅰ#」、「Ⅲ♭」なとと表されます。
1オクターブの中には、12の音があります。
その全12音の「ディグリーネーム」は以下のようになります。
「ディグリーネーム」を半音単位で表すと以下のような関係性になります。
この関係性に基づいて「メジャースケール」以外のスケールの各音も「ディグリーネーム」で表していくことができます。
5.まとめ
「ディグリーネーム」を使うと、ある一定の「キー」に依存しない「メロディー」や「コード」の関係性を表すことができます。
この事から「ディグリーネーム」は、楽譜上というよりむしろ音楽理論の解説の場で活躍しています。
この入門講座でも、ある特定の「キー」に依存しない「メロディー」や「コード」については、「ディグリーネーム」で表記していきますので、少しずつ慣れていってください。
次回は、作曲を始めるにあたって必要なツールについて、解説していきます。