1.作曲に楽譜は必要か?

この入門講座では、作曲に必要な「理論」の解説をしていきます。
「理論」が解り、その「理論」がきちんと使えるように練習していくと、最終的には曲を作れるようになっていきます。
J-POPの世界で様々な優れた楽曲を生み出している作曲家の方々も、一部の天才を除いて「作曲理論」を駆使して作曲をしています。
「理論」を使って作曲をする場合、楽譜の基礎的な知識は必須と言っていいと思います。

多くの作曲の解説書は楽譜を使って解説されていますし、すぐれた既存の曲の中で、どのような音が使われているか調べる場合もほとんどのケースで楽譜を使うことになると思います。
最近では多くの「作曲ソフト」で「ピアノロール」など楽譜でないものを使うケースもありますが、いざ他者とコミュニケーションとる事になった場合、『「ピアノロール」の上から5番目の音を、4番目にして、左に1マスずらして・・・』などと言っても通じないと思います。

「作曲」の世界においては「楽譜」による既存の財産が膨大にあり、もはや作曲界の「公用語」なので、「作曲」を始めるにあたって、楽譜の知識を得ておく事は「外に出る時は靴を履きましょう!」というのと同じくらい当然の装備だと思います。

「楽譜」の読み方について、小学生の時にやったはずだど、忘れちゃったなぁ。。という人。
大丈夫です!!
「歌モノ」の作曲に必要な知識だけを厳選して、基礎的なことから丁寧に説明していきます

2.何分の何拍子?

楽譜を見ていると先頭になにやら分数が書いてあると思います。
これは、その曲における基本的な「拍」を表しています。
「拍」とは、ある一定の間隔で繰り返される鼓動のようなもので、曲のリズムは全てその「拍」に基づいて表現されます。
分数の上側が一小節にいくつの「拍」を打つのか?
分数の下側がその「拍」をどんな長さの音符で表すか?
を示しています。

4分の4拍子

4分の4拍子の場合、1小節に4分音符が4つ入るということです。
4分の4拍子に音符を配置するとこうなります。

4分の4拍子の場合、4分音符が4つ入る

5つ目の4分音符は入りませんし、4分音符が3つということもありません。

4分の4拍子に5つめの4分音符は入らない

また「4分の4拍子」は、アルファベットの「C」のような記号を使って以下のように表現されていることもあります。

4分の4拍子の記号

この書き方になっているパターンもあるので、一緒に覚えておきましょう。

J-POPでは、圧倒的に「4分の4拍子」が多いと思います。
この「拍子」によって、リズムの考え方がまったく変わってきますので、まずは先頭の「拍子」を確認してください。

3.音符の種類

一般的に使われる「音符」には以下の種類があります。

①4分音符

先ほどの「拍」の説明で、既に登場していますが、黒丸に「棒」と呼ばれる黒い縦線のついた形状をした音符が「4分音符」です。

4分音符の見た目

音符の形はその長さを表しますが、この音符だったら何秒とかいうふうに決まっているわけではありません。
4分の4拍子の場合、4分音符は「拍」と同じ長さです。
1小節に4回、指揮棒を振る指揮者が居たら指揮棒を振ってから次に指揮棒を振るまでの時間ということになります。

4分音符は、さきほどの「拍」に対する説明のところでも触れたとおり、4分の4拍子の場合、1小節に4つずつ入ります。
つまり、1小節の4分の1の長さです。
1小節の4分の1の長さだから4分音符と覚えてください。

②8分音符

4分音符の棒の先に「旗」と言われる帯状のものがついた音符が、8分音符です。
8分音符は、4分音符の半分の長さです。

8分音符

8分音符を、1小節に敷き詰めるとこうなります。

8分音符は1小節に8つ入る

4分の4拍子の場合、1小節の8分の1の長さだから8分音符と覚えてください。
8分音符が連続する場合「連桁」という横棒で繋がれます。
(「連桁」は「れんこう」と読みます。)

連桁でつながれた8分音符

この「連桁」で繋がれているのも8分音符で「旗」のついたノーマルな8分音符と演奏上の差はありません。

③16分音符

4分音符に「旗」が2つ付いた音符が16分音符です。
8分音符のさらに半分、4分音符の4分の1の長さです。

16分音符

4分の4拍子の場合、1小節に16個の16分音符が入ります。
1小節の16分の1の長さなので、16分音符と覚えてください。
16分音符が連続する場合、2段重ねの「連桁」で繋がれる場合があります。

連桁でつながれた16分音符

この「連桁」2つで繋がれた音符も、16分音符で「旗」が2つある16分音符と演奏上の差はありません。

④2分音符

4分音符よりも長い音符もあります。
4分音符の黒丸を白くくりぬいた見た目の音符は2分音符といって、4分音符の2倍の長さになっています。

2分音符

4分の4拍子の場合、1小節に2つの2分音符が入ります。
1小節の2分の1の長さなので、2分音符と覚えてください。

⑤全音符

2分音符よりもさらに長く、4分音符4つ分の長さを持つ音符を全音符と言います。
棒のない白くくりぬかれた玉の見た目になっています。

全音符

この音符は、一小節まるごとの長さを持ちます。

全音符は1小節まるごとの長さ

1小節全体の長さなので、音符と覚えてください。

⑥付点2分音符

各音符はそれぞれ「付点」という黒丸が付けられることがあります。
「付点」がつけられた場合は、元の長さの半分の長さが足されます。
2分音符に付点をつけた場合、2分音符 にその半分の 4分音符の長さを足した長さになります。

付点2分音符

付点2分音符は、4分音符3つ分となるので、4分の4拍子に配置すると1小節は以下のようになります。

付点2分音符配置例

⑦付点4分音符

付点は4分音符にも付くことがあります。
付点がついた場合、4分音符の半分の長さが加わります。
4分音符の半分は8分音符なので、長さはこうなります。

付点4分音符の長さ

付点4分音符の長さは、4分音符1個分+ 8分音符(4分音符0.5個分)で、4分音符1.5個分なので、4分の4拍子の小節に配置すると、こんな感じになります。

付点4分音符の配置例

⑧付点8分音符

8分音符に付点がついた場合は、8分音符の半分の長さである16分音符の長さが足されます。

付点8分音符の長さ

8分音符(4分音符の0.5個分)+16分音符(4分音符の0.25個分)で、4分音符0.75個分の長さになります。
4分の4拍子の1小節に配置すると、以下のような形になります。

付点8分音符の配置例

4.休符の種類

音を出さない「拍」には休符を配置します。
一般的に使われる休符には以下の種類があります。

①全休符

4分休符4つ分の長さの休符を全休符と言います。
全休符はこのような形をしています。

全休符

4分の4拍子に「全休符」を置くと、以下のようになります。

4分の4拍子に全休符を配置

②2分休符

全休符の半分の長さの休符を2分休符と言います。
2分休符は、全休符を上下逆さまにしたこんな形をしています。

2分休符の見た目

4分の4拍子の楽譜に配置すると、このようになります。

2分休符の配置例

③4分休符

4分音符と同じ長さの4分休符もあります。
4分休符はこんな形をしています。

4分休符

4分休符を4分の4拍子に置くと、このような形になります。

4分休符の配置例

④8分休符

8分音符と同じ長さの8分休符もあります。
こんな見た目をしています。

8分休符

8分休符を4分の4拍子に置くと、このような形になります。

8分休符の配置例

⑤16分休符

16分音符と同じ長さの16分休符もあります。
こんな見た目をしています。

16分休符

16分休符を4分の4拍子に置くと、このような形になります。

16分休符配置例

⑥付点2分休符

付点のついた休符もあります。
2分休符に付点がつくと、2分休符の半分の長さつまり4分休符の長さが足されます。

付点2分休符

4分4拍子の中では、このような使われ方をします。

付点2分休符の配置例

⑦付点4分休符

4分休符に付点がつく場合もあります。
付点4分休符と呼ばれ、いままで出てきた「付点」と同じ考え方で、4分休符の半分の長さが足されます。

付点4分休符

4分の4拍子の楽譜の中では、以下のような使われ方をします。

付点4分休符の配置例

⑧付点8分休符

8分休符に「付点」が付く場合もあります。
付点8分休符と呼ばれ、8分休符の半分の16分休符の長さが足されます。

付点8分休符

4分の4拍子の楽譜の中では、以下のような使われ方をします。

付点8分休符の使用例

5.音符・休符の一覧表

今まで解説してきた音符、休符を全部並べると、以下のようになります。

良く使われる音符と休符の一覧

「歌モノ」の楽譜で用いられる音符は、ほとんどのケースで、これらの音符が使われています。
まずは、上表の音符を覚えましょう。
上記の画像を印刷して傍らに置きながら様々な楽譜を読んでいけば、そのうち慣れてくると思います。

6.付点が2つの場合

付点は2つ付与される場合があります。
付点が2つ付いた場合は、付点付きの音符に、元の音符の長さの4分の1の長さがさらに加わります。
例えば、4分音符に2つの付点が付いた場合、複付点4分音符と言われ、以下のような長さになります。

複付点4分音符

4分の4拍子の楽譜で使用する場合は、このようになります。

複付点4分音符の使用例

その他の音符や休符に2つの付点が付与される場合も、考え方は同じで、付点付きの音符(または休符)にさらに4分の1の長さが加わって、元の長さの1.75倍になります。

7.タイ

①タイの基本

同じ音程の音符を繋げる場合は「タイ」という記号を使います。

タイの基本

「タイ」は、複数の音を途切れることなくつなぐので、演奏される長さが単純に長くなります。
そういった意味では「付点」と同じです。
例えば、2分音符と4分音符を「タイ」でつなぐパターンは、付点2分音符を使っても同じになります。

タイと付点は同機能

付点と違って「タイ」を使う場合は、どのような音符でも接続できるので、付点では表せない長さも表すことができます。
例えば、2分音符と16分音符を「タイ」で接続して、4分音符の2.25倍の長さの音符も作ることができます。

2分音符と16分音符をタイで接続

また「タイ」は、3つ以上の音符をつなげることもできます。
例えば「2分音符」と「4分音符」と「16分音符」をつなげて、4分音符の3.25倍の長さの音符を作ることもできます。

タイで3つの音符を接続

②タイとスラーは紛らわしい

「タイ」はあくまで、同じ音程の音符どおしをつなげます。
「タイ」とそっくりの見た目でも、つないでいる音の高さが違う場合は「スラー」と言って、なめらかに音程を変更するという意味になります。

タイではなくスラー

「スラー」と「タイ」は紛らわしいので注意です。
つながれている2つの音符の音の高さが同じなら「タイ」違うなら「スラー」です。

③タイの活躍の場

また通常の音符や付点で表せる場合も、発音タイミングが「拍」の先頭でない場合、「拍」の先頭で発音していないということを表すため「タイ」が使われるケースが多くあります。

タイの活躍の場

こういったケースも「タイ」の活躍の場になっています。

8.音の高さ

①ト音記号

先頭のくるくるした記号は「ト音記号」と言います。

ト音記号

これは楽譜全体がどのような音の高さで書かれているか?を表しています。
J-POPなどの「歌モノ」の「メロディー」の楽譜は、ほとんどのケースでこの「ト音記号」が使われています。

②ト音記号のドレミファソラシド

楽譜上の音符は上に書かれるほど高い音、下に書かれるほど低い音になります。
「ト音記号」におけるドレミファソラシドとピアノの白い鍵盤と対応させると、以下のようになります。

ト音記号と鍵盤との対応

高い「ド」の8分音符の「棒」と「旗」が下を向いていますが、これは、譜面が上に飛び出てしまうのを防ぐためで、音の高さや長さには影響しません。

棒や旗が下を向いている場合

③高いドよりさらに高い音

高い「ド」より上の音も同じように、次の上の位置が「レ」、次の次に上の位置が「ミ」というふうになります。

高いドより高い音

④低いドよりさらに低い音

低い「ド」より下も同じように、一つ下に下がると「シ」さらにもう一つ下がると「ラ」となっていきます。

低いドよりも低い音

⑤ト音記号の覚え方「味噌汁は?」

「ト音記号」の音符の位置と、その音を全て覚えるのは難しいので、まずは、主要な音から覚えていきましょう。
5つの線上の音は、下から「ミ」「ソ」「シ」「レ」「ファ」になっていますので、ゴロ合わせで「味噌汁は?」と覚えると良いと思います。

味噌汁は?

⑥シャープ記号

音の高さをあげる場合には「#」記号を使います。
「#」はシャープと読みます。
例えば「ファ」と「ソ」の間の黒鍵の音は以下のように表します。

シャープの使い方

「#」は、黒鍵を演奏する記号ではなく、鍵盤上の最小単位だけ音をあげる記号です。
例えば「ミ」にシャープが付いた場合「ミ」の右隣りに黒鍵がないので「ファ」を指すことになります。
「ミ#」=「ファ」という事になります。

#は最小単位だけ音をあげる

この鍵盤上の最小単位の音程差の事を「半音」と言います。
「#」は、半音上げる印という事になります。

⑦フラット記号

音を下げる場合には「♭」記号を使います。
「♭」はフラットと読みます。
例えば「ファ」と「ソ」の間の黒鍵の音は、以下のように表します。

フラットの使い方

「♭」は半音下げる印になります。

⑧シャープやフラットが2つついたら

稀に「#」や「♭」が2つつく場合があります。
例えば「ド」の音に「♭」が2つついている場合、半音2つ分下げるので「シ」のフラットを指すことになります。

ダブルフラット

9.まとめ

お疲れ様でした。
今回は「歌モノ」の「作曲」に最低限必要な楽譜の知識について解説しました。
この内容で、ほとんどのVocal譜がなんとなく読めると思います。
楽譜はスラスラ読める必要はありませんが、読めるか?読めないか?では、雲泥の差があります。
楽譜が読めれば、偉大な先人達が残してくれた膨大な楽譜資産や、ネットや書籍に書かれている「作曲」に関しての解説文書を活かすことができるようになります。
ぜひ多くの楽譜に触れて、ここで得た知識を定着させるようにしてください。
イメージしている「作曲」への道が開かれてくると思います。

次回は作曲に必要な音楽用語の知識のうち「音名」「音程」について、説明していきます。

>>「作曲に必要な音楽用語(音名と音程)」へ

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