1.メロディーのリズム
「「コード」に合う「メロディー」の法則」の講義で「コード進行」に合う「メロディー」の法則について覚えてそれに則って「メロディー」を作ったのになぜか「メロディー」が自然にならないという方。
「メロディー」のリズムについて考察してみてください。
今回は「メロディー」のリズムについてのお話です。
2.一定なリズムのメロディーは不自然
まずは以下の「メロディー」を聞いてください。
「コード進行」とずれてはいませんが、なぜか不自然な気がしませんか?
これは「メロディー」の発音タイミングが拍に対して一定すぎるためです。「拍」に対して一定すぎるメロディーは不自然に感じられます。
では、これはどうでしょうか?
さきほどの「メロディー」の音程自体はほぼ同じですが、発音タイミングを適度にずらし、音の長さを調整して、メロディーの発音タイミングが拍に対して一定にならないようにしています。
この方が自然に聞こえると思います。
3.強迫・弱拍・中強拍
その曲の拍の数え方は、先頭の分数で表されます。
分母が1拍の基準となる音符の長さ
分子が一小節に入る拍の数
となっています。
4/4拍子の場合には1拍目を「強迫」3拍目を「中強拍」2拍目、4拍目を「弱拍」と言います。
1拍目は強く、3拍目はその次に強く、2拍目、4拍目は弱く演奏されます。
「強拍」や「中強拍」に音符を配置すると力強いメロディーになります。
逆に「弱拍」に音符を配置していくと、控えめなメロディーになります。
さらにこの拍を半分に分けて、前半を「ダウンビート」後半を「アップビート」と呼びます。
「ダウンビート」に音符を配置すると素直な(単純な)メロディーになります。
逆に「アップビート」に音符を配置していくと、ノリの良いメロディーになってきます。
(補足)
「アップビート」のことを「裏拍」と言いますが、定義があいまいな部分があって「弱拍」のことを「裏拍」と表現される場合もあるので、注意が必要です。
4.シンコペーション
発音タイミングを後ろにずらすことを「シンコペーション」と呼びます。
まずはシンコペーションしない強拍から始まるメロディー
これを「シンコペーション」して発音を後ろにずらします。
メロディーに「ノリ」が加わるのが解りますでしょうか?
この例では、1拍目を「ダウンビート」に移動しただけではなく、2拍目も「ダウンビート」に移動しています。
場合によってはフレーズ全体を後ろにずらしても良いと思います。
5.アンティシペーション
発音タイミングを前にずらして、少し早く始めることを「アンティシペーション」と言います。
この「アンティシペーション」をコードチェンジのタイミングでに使うと「1.「コード」に合う「メロディー」の法則」で解説した「先取音」になります。
こんな「メロディー」です。
1小節目の4拍目の「アップビート」で、2小節目の音を8分音符分だけ早く初めています。
「アンティシペーション」を使うと、ちょっとかっこいい感じになります。
6.弱起
メロディーのフレーズそのものを「強拍」以外から始めることを「弱起」と言います。
例えば、こんな「メロディー」です。
「強拍」で音は鳴っていますが、フレーズとして「弱拍」から始まっているので、「強拍」から始まるメロディーの「単純」というイメージを払拭できているのではないでしょうか?
「弱起」は前述の「シンコペーション」「アンティシペーション」と組み合わせて、「弱拍」から始まり、かつ「強拍」で音を鳴らさないという「メロディー」を作っても良いと思います。
上手くまとまれば、深みのある「メロディー」になると思います。
7.まとめ
この章のまとめです。
まとめ
【1】拍に対して一定の発音タイミングの「メロディー」は不自然。
【2】発音タイミングを後ろにずらすことを「シンコペーション」と呼ぶ。ノリが加わる。
【3】発音タイミングを前にずらすことを「アンティシペーション」と呼ぶ。ちょっとかっこいい感じ。
【4】フレーズ自体を「強拍」以外から始めることを「弱起」という。メロディーに深みを出す。
せっかくここまで解説してきたことと矛盾するようですが「メロディー」に関しては、感覚を頼りにした方が歌いやすく印象深いメロディーが出来上がると思います。
普段からここに書かれているような「シンコペーション」「アンティシペーション」「弱起」を意識して「メロディー」の発音タイミングをずらす練習をして感覚を磨いておきましょう。
そうしておくことで、いざ「曲」を書くぞ。っていう時に、適度に発音タイミングのばらけた自然な「メロディー」がおのずと思い浮かぶようになってくると思います。
次回は「コード」のベース音を変更する「分数コード」のお話です。