スケールとは?
「スケール」は日本語では「音階」と呼ばれ、ほとんど人が感覚的に解っていると思います。
今回は、それを理論的に説明していこうと思います。
この講義が終わったら、なんとなく理解していた感覚的な「スケール」と、多くの音楽理論で使われている「スケール」という言葉が、しっかりリンクするようになると思いますので、長文ですが、しばらくお付き合いください。
スケールとは、何らかの「音程」の決まりに基づいて並べた音の集まりです。
「スケール」の音の数は、5音だったり、7音だったり様々で、ある「スケール」を決め、その「スケール」の音を中心に「メロディー」「伴奏」を演奏すると、その「スケール」の持つイメージを引き継いだまとまりのある曲になります。
少数の例外はありますが、ほぼ全ての既存の曲が、何らかの「スケール」に基づいて作成されています。
音楽の世界で最も使われているであろう「スケール」は「Cメジャースケール」で「ドレミファソラシ」の7音です。
Cメジャースケールを順番に弾くとこんな音です。
響きを聴く前から、こんな音だろうな?
と想像ができていた人も多いと思います。
それほど一般化した「Cメジャースケール」は、浸透しすぎていて、むしろその存在意義が解らなくなっている状態かもしれません。
これからこの「Cメジャースケール」の存在意義について解説していきます。
まず「2.作曲に必要な音楽用語(音程)」のところで説明した「音名」のうち、同じピッチの音を省くと1オクターブにいくつの音があるでしょうか?
鍵盤を使って数えていくと、以下の12とおりあることが解ります。
この12音に優劣をつけず、適当に弾いていくと、まとまりのない「曲」とは呼べないようなものが出来上がります。
「Cメジャースケール」は、この12音の中から7音だけを使います。
「スケール」は「スケール」のイメージを壊してしまう音を弾かないようにすることとも言えると思います。
曲を作る時、12音の中からやみくもに音をチョイスするのではなく、先人達が研究成果として残してくれた「スケール」の音だけを弾くことで、私達は最初からまとまりのある「曲」を作ることができます。
そういった意味で「スケール」は作曲者にとって、とてもありがたいものです。
2.メジャースケールとは?
では「スケール」の中でも代表格である「メジャースケール」には、どのような決まりがあるでしょうか?
「メジャースケール」の各音の音程差を、まず「2.作曲に必要な音楽用語(音程)」のところで説明した「半音」「全音」という区分で整理してみます。
まず「ド」と「レ」の間は、⇒「黒鍵」⇒「白鍵」があるので「全音」です。
続いて「レ」と「ミ」の間は、⇒「黒鍵」⇒「白鍵」があるので「全音」です。
「ミ」と「ファ」の間に黒鍵はなく⇒「白鍵」なので「半音」です。
「ファ」と「ソ」の間は、⇒「黒鍵」⇒「白鍵」があるので「全音」です。
このようにして残りの「ソ」「ラ」「シ」「ド」全ての音程を調べていくと、このように「全全半全全全半」という音程差があることが解ります。
この「全全半全全全半」という音程差を持つスケールを「メジャースケール」と言います。
そして、この「全全半全全全半」を数え始めた「音」の「音名」を先頭に着けて呼びます。
「ドレミファソラシド」は、「ド」の音名は、英米式では「C」なので、
C メジャースケール
と呼びます。
日本式で「ド」の音は「ハ」なので「ハ長調」とも呼ばれます。
学校では「ハ長調」で習うので、こちらの方が馴染みがあるかもしれません。
「Cメジャースケール」=「ハ長調」です。
音楽理論の解説では「Cメジャースケール」と呼ばれることの方が多いと思います。
3.様々なメジャースケールとキー
前述した「メジャースケール」は「全全半全全全半」をどこから始めても、そののイメージを保ちます。
例えば、「C」隣の「D♭」から始めれば、以下のような音階が得られます。
この音階は、D♭から「全全半全全全半」の音程差の並びが始まっていますので、
「D♭メジャースケール」
というスケール名になります。
順番に音を鳴らすと、このような音になります。
(※動画では「C#」「D#」「F#」「G#」「A#」が出てきていますが、それぞれ「D♭」「E♭」「G♭」「A♭」「B♭」と同じ音です。)
音の高さは違いますが「Cメジャースケール」と同じイメージですよね。
このように「全全半全全全半」といった同じ音程差を持った音の並びは、ベースとなる「音」の高さが違っても、同じイメージに聞こえます。
スケールに対してそのベースとなる音(メジャースケールで言えば「全全半全全全半」を始める音)まで含んだものを、「キー」と呼びます。
「キー」は日本語では「調」と呼びます。
「キー」=「調」です。
この「キー」という言葉は一般化していて、カラオケなどで、ボーカルの高さが合わない場合「キー」を下げる、もしくは上げるなどと言ってリモコン操作すると思いますが、これは、文字通り「キー」を上げ下げして、その「キー」に合わせて、すべての音を平行移動するということをやっています。
同じ音程差を持った音の並びがベースとなる音が変わっても同じイメージに聞こえるのは、メロディーだけでなく伴奏も同じです。
発音されている音の全べてを同じ音程差だけ上げるか、下げるかすると、音の高低は変わりますが同じイメージに聞こえます。
この事は感覚的に理解されていると思いますが、その時の基準となるのもので、その曲の高さやイメージを代表するものが「キー」ということです。
4.キーと調号
前掲の「D♭メジャー」のように、それぞれの音符に「♭」を付けるというのは手間ですし、楽譜も読みずらいので、一般的には、楽譜の先頭にそのキーで使われる「♭」もしくは「#」を全て列挙します。
この楽譜の先頭にまとめて書かれた「♭」もしくは「#」のまとまりを「調号」と言います。
この「調号」だけ見れば、どの「キー(調)」に基づいてで書かれた曲なのか、解るようになっています。
「1.スケールとは?」で説明したように「音名」のうち、同じ音の高さのものを省くと、12種類あります。
よって理論上、12種類の「メジャースケール」が存在しています。
「メジャースケール」のキーに含まれる音と「調号」を、12種類全て挙げると、以下のようになります。
Cメジャー
D♭メジャー
Dメジャー
E♭メジャー
Eメジャー
Fメジャー
G♭メジャー
Gメジャー
A♭メジャー
Aメジャー
B♭メジャー
Bメジャー
調合を見ると、その曲の「キー」が解ります。
例えば「調合」が「D」の曲があって、それをいつもの「Cメジャー」で演奏したいな。と思えば、「D」と「C」との音程差である半音2つ分を、楽譜上の全てに適用して、全ての音を2半音低くしてあげれば良いことになります。
この先「コード進行」を学び、既存の曲の「コード進行」や、自分が過去に作った「コード進行」をコピーしてくるときに、さらにその便利さが解ってくると思います。
5.まとめ
今回は「スケール」と「キー(調)」についてのお話でした。
解説でも述べているとおり「スケール」の音を使うと、最初からまとまりのある曲を作ることができますし、「キー(調)」は、曲やフレーズまるごと音の高さを変えるのにとても重宝します。
そして今後の音楽理論の解説においても「スケール」や「キー」という言葉が随所に使われてきますので「スケール」や「キー」という用語を覚えていれば、その作曲理論を自分のものとすることができるようになってくると思います。
「スケール」および「キー」は「作曲」における大きな武器となりますので、慣れていきましょう。
次回は、音楽理論では欠かせない知識となる「ディグリーネーム」について、解説していきます。