1.跳躍進行とは?
メロディーの進行において、音高が3度以上変化する動きを「跳躍進行」と言います。
前回説明した「順次進行」以外は全て「跳躍進行」となります。
「跳躍進行」を取り入れると「順次進行」にはない躍動感が得られます。
2.跳躍の仕方によるイメージ
「跳躍進行」をすると躍動感が得られると言っても、跳躍の仕方によって、そのイメージはそれぞれ異なります。
ここでは具体的な音を聞いてもらいながら、そのイメージを実感していきましょう。
①3度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅲ(ミ)」)
3度の跳躍は、あまり跳躍したという感覚はないと思います。
「順次進行」に比べると、少し動きがあるかな。という感覚ではないでしょうか?
②4度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅳ(ファ)」)
4度の跳躍は、3度の跳躍よりも少し「跳躍」っぽく聞こえて「進行感」が出てきます。
このサンプルの場合、先頭が「Ⅳ(ファ)」で始まっている関係で、メロディーとして戻ってきた感じの方が勝ってしまっているかもしれません。
以下の例だと、きちんと「進行感」が感じられるのではないでしょうか?
③5度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅴ(ソ)」)
5度の跳躍は、少し無機質で切ない感じです。
切ないフレーズの表現の中に組み込まれたり、機械的なイメージを出す場面で活躍しています。
④6度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅵ(ラ)」)
6度の跳躍は、メロディアスで、目の前に鮮やかな色彩が広がるような豊かな感覚があると思います。
歌っていて気持ちが良く、とても人気の高い跳躍方法だと思います。
⑤7度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅶ(シ)」)
7度の跳躍は、とても切ない響きになります。
なぜ半音上の「Ⅰ(ド)」へ行かなかったのか?と、はがゆい感じになると思います。
バラードなどで泣かせる場面でよく使われる跳躍だと思います。
⑥8度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅷ(ド)」)
8度の跳躍は元気いっぱいです。
サビを中心にドーンと躍動感を出す場合に使われています。
⑦9度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅸ(レ)」)
9度の跳躍はおしゃれなイメージです。
特にこの「Ⅰ(ド)」から「Ⅸ(レ)」への跳躍は、この次「Ⅰ(ド)」へ行くんでしょ。という感覚があってじらし効果を生みます。
⑧10度跳躍(「Ⅰ(ド)」⇒「Ⅹ(ミ)」)
10度の跳躍は、メロディアスでありながら元気いっぱいな跳躍で、あんまり繰り返すと疲れてしまうのではないかというくらいパワフルです。
サビや大サビなど、感情が爆発するシーンで使われています。
3.跳躍進行を含むメロディーの作り方
【STEP1】跳躍する音を入れる
跳躍進行は、いままで作ってきた「同音連打」「刺繍音」「経過音」のメロディーの一部を適当に跳躍する音に変えて作っていく形で良いと思います。
跳躍先の音高は前述の「2.跳躍の仕方によるイメージ」を基準に、どんなイメージを加えるか戦略を練っていきましょう。
今回は「経過音」のメロディーの1音を、元気いっぱいの8度の跳躍をする音に変えて、以下のようなモチーフを作ってみました。
「順次進行」だけのメロディーに比べて、だいぶ躍動感が加わったのではないでしょうか?
【STEP2】モチーフを展開させる
モチーフが2小節なので2回繰り返して収まりに良い4小節にしていきます。
この時、跳躍について考える必要があると思います。
8度の元気いっぱいな跳躍を、また繰り返すべきでしょうか?
おそらく8度の跳躍が4小節に2度登場すると、ちょっと鬱陶しくなる可能性が高いと思います。
そこで今回は、2回目の繰り返しは、控え目な3度の跳躍にして、その分、音符を足して駆け足のようなリズム感を追加してみました。
【モチーフ(1~2小節目)】
【モチーフ(3~4小節目)】
できあがったフレーズを聴いてみましょう。
ねらいどおり「躍動感」のあるメロディーができたのではないでしょうか?
4.まとめ
「跳躍進行」を使うと躍動感を出すことができます。
ただし「跳躍進行」ばかりだと、ちょっと鬱陶しい感じが出てくると思います。
特に8度跳躍、9度跳躍、10度跳躍などの大技の多用は、意図して鬱陶しさを狙うケース以外は避けた方が良いと思います。
「メロディー」はバランスが大事です。
次回は「メロディー」を彩る「コード」について、基礎的なことから解説していきます。